専門知識や技術と同じくらい大切なもの

体が不自由な高齢者や、自立した生活が送れなくなった方をサポートする介護の仕事では、専門的な知識と技術だけではなく、接遇マナーも必要になる。よく似た言葉に接客があるが、接遇と比較して何が違うのかと疑問に思っている人もいるだろう。簡単にいうと、接客は失礼のない応対とサービスの提供であり、介護の場合は、食事や入浴などの補助を安心かつ安全に行うことがこれに当たるだろう。つまり、最低限のサービスを提供することが接客なのだ。

一方、接客にプラスして丁寧なおもてなしをしていくのが接遇だ。たとえば、介護をする時に、優しく声をかけて不安を取り除いたり、「今の介護に満足していますか?」などのようにコミュニケーションを取っったりして、相手の要望をヒアリングしながら介護をしていくことは接遇に該当する。要するに、介護を受けた人に「ずっとこの施設で介護を受けたい」「ここなら安心して暮らしていける」と感じてもらえるような応対をすることが、介護における接遇になるのだ。

近年、高齢化社会が進むにつれて、介護施設は激増している。どこも個性を打ち出し、利用者を獲得しようとしているので、今後は介護現場でも接遇を徹底していかないと、新規の施設に利用者が流れていってしまう可能性もある。そうなると、他の介護施設との競争に負けてしまい、施設を閉鎖しなければいけないような状況にもなるので、質の高い介護をして、利用者の満足度を得るためには、ワンランク上の手厚い介護が必要になってくるのだ。そのため、これから介護職を目指す人は、介護の知識と技術だけではなく、どのように接遇したら良いのかを考えてほしい。