手厚い介護サービスを提供するために…。
接遇はもともと飲食店やホテルなどで使われてきたワードで、「サービスの提供+おもてなし」という意味を持っている。単なるサービスの提供だけにとどまらず、それにおもてなしの心をプラスして顧客の満足度をより高めようという概念だ。そして、この概念は介護の現場でも注目が集まっている。
接遇は利用者に伝わって初めて意味がある。介護サービスを提供する側にいくらその気持ちがあっても、利用者に伝わらなければなかったのと同じだからだ。ところが、おもてなしの心が相手に伝わっているかどうかを自分で確認するのは簡単ではない。そのため、正しく身につけて現場で活かすためには、接遇に関する研修を受けるのが大切だ。手厚い介護サービスを提供しようとするのであれば、スタッフ教育や研修のカリキュラムに接遇を取り入れる必要があるだろう。
介護現場の接遇でポイントになるのは、挨拶の徹底や身だしなみ、表情や動作、言葉づかいといった項目だ。介護の現場では、介護士が話しかけやすい雰囲気を作る一方で、適度な距離感を維持しなくてはならない。特に注意すべき点は、介護職が自分の主観で意見を言わないことだ。介護の現場では利用者が自分よりも高齢というケースが普通なので、基本的に聞き上手になることが求められる。また、利用者によって態度を変えるのも好ましくない。そのため、研修を通して、これらのことを学ぶべきだ。
ただし、教育や研修を実施しても、現場に反映されないというケースも実は意外に多い。その原因の一つとして、上司自身に接遇が身についていない可能性があるからだ。そのため、まずは管理職が率先して接遇マナーをマスターし、それを現場で実践するよう心がければ、スタッフにも波及しやすくなるだろう。